父が買ってきたもの

父は、とても自分勝手な人だ。

毎日お酒を飲み、帰ってこない日も多い。
嫌な事があると家族のせいにする。

私は父親とあまり話をした記憶がない。

何故かと言うと…
父はいつも寝ていて、休みの日は必ずパチンコへ足を運ぶ。

兄が壊れ始めた頃から、更にギャンブルと酒に依存していった。

『あんな父親なら必要ない』

とさえ、私は子供ながらに思い始めていた…。
すぐ何かのせいにしている父を気持ち悪く思っていました。

休日の昼に、父は酔って帰宅した。
何故か機嫌が悪く、ふて寝をしました。

その日の夜、いつもの様に父と母が激しく口論していました。

どうやら、父がギャンブルに負けて、いつもの様にお金を全部使いきってしまったようでした。

母が問い詰めます。


『なんでいつも、全部お金を使うの？』


すると、父はこう答えていました。


『お前に俺の立場がわかっているのか？』

『俺には付き合いがある。』

『金をよこさないと…ロープで首を吊る』


と、母に向かって怒鳴っていました。

母は呆れてしまい、布団に入りそのまま寝ていました。

翌日、私は学校から自宅へ帰って探し物をしていました。

引き出しを開けると…

少し太めの長いロープを見つけました。

父と母の喧嘩の時の言葉を思い出しました…。

父はロープを買ってきたらしく
母は私を見て、


『ロープが必要なんだって。』


と、言いました。

私はとても複雑な気持ちになりました。。。